研究日誌

哲学と哲学史を研究している人の記録

哲学史研究の哲学

哲学史研究と哲学をすることの関係についてのグライスの「ファンタジー」

先日勤務先で一般向けの講座を行う機会を得て、「哲学と哲学史——両者は切り離せないのか」という内容で話をした。下記の記事からはじまる当ブログの一連のSauer論文記事を本題としてその前後に前置きと展望を挟むという感じの構成で、どちらかといえば利他的…

現代哲学の研究に哲学史は必要なのか(その4):論証のかたちを可能なかぎり単純にし、反論の道を探る

そろそろ批判的なことを書きたいのだけど、反応を見ているとそもそもの話が理解されていないので補足を続ける。なるべく単純でわかりやすくすることを心がけた。また、この記事から読み始めることもできるようにしたつもりだ。短くしようとしたのだが、ある…

現代哲学の研究に哲学史は必要なのか(その2):何が誰にとって不要だとされているのか

前回の記事の続き。大雑把には「現代哲学の研究に哲学史は必要ない」という主張を擁護した論文 Hanno Sauer, "The End of History", Inqury. https://doi.org/10.1080/0020174X.2022.2124542 について、いくつかの補足をしておく。ちなみに哲学史と哲学の関…

現代哲学の研究に哲学史は必要なのか

大雑把に言えば、タイトルの問いに「必要ない」と答える論文が出た。 Hanno Sauer, "The End of History", Inqury. https://doi.org/10.1080/0020174X.2022.2124542 読んでみたら面白かったので、自分用のメモも兼ねて概略をまとめておいた。感想なども書き…